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〈 湘南 〉

地元の食事と合うお酒を。名水の里の音楽醸造蔵『金井酒造店』

水無川のほとり、秦野運動公園に隣接する場所に、明治から続く歴史ある酒蔵『金井酒造店』はあります。明治元年(1868年)に当時では珍しい女性経営者が“挑戦”というテーマを掲げ秦野駅近くで創業した金井酒造店は、昭和61年(1986年)に現在の場所に移転しました。入口には大きな看板と、大きな和釜が目を引きます。和釜は、お米を蒸すために実際に使っていたものだそうです!

名水の湧き出る秦野 美味しいお酒はお水から

金井酒造店のある秦野盆地は、全国名水百選にも選ばれている名水の里であり、多くの湧水がみられます。名水の里の湧水、味は同じかと思いきや、同じ秦野でも場所によって微妙に味が違うと言われています。昭和61年の移転は、さらに酒造りに適した水を求めたため。現在の場所に地下150mの深さの井戸を掘り、蔵で使う水は全てこの井戸水を使っているそうです!井戸水は多い時でひと月に1000トンも使用するそう。豊かな水の証ですね!

メインブランド「白笹鼓」を一新!食事に合うお酒造り

近年、日本酒の売り上げが下がっている傾向にある中で、若い方たちに“どのように受け止めてもらうか、この文化をどう伝えるか”を検討し、ラベルデザインを2022年に一新しました。ロゴデザインも醸造する際に使用する丸い釜に井桁をかけるイメージに。また、“香り系”の日本酒が主流となっている流れを受け、デザインを一新したのを機に、もう少し穏やかな香りが出る酵母を意識して使用し、香りの変化を付けました。昔馴染みの方々からも“若干香りが変わった”と、味の変化に気が付いていただけたそうです。

金井酒造店の銘酒といえば「白笹鼓」。白笹鼓という名前は、秦野で古くから信仰されてきた関東三大稲荷の一つ、白笹稲荷神社が由来です。メインブランドである白笹鼓は、お酒らしいお酒を目指しつつ料理と共に楽しむ食中酒でありたいと考え、出来るだけ地元の料理(田舎料理と呼ばれる家庭的な料理)に合うようなお酒造りをしています。

白笹稲荷神社のキャラクター“白笹すずなちゃん”をラベルにあしらった「白笹鼓 純米のいなり」。白笹すずなちゃんは、金井酒造店と地元洋菓子店、白笹稲荷神社とのコラボで生まれ、“お酒の好きな神様の遣いをしているおきつねさま”。こちらの秦野萌酒シリーズは、日本酒に馴染みのなかった層にも好評です◎
そして、金井酒造店が“音楽醸造蔵”と呼ばれる所以である「モーツァルト」シリーズ。モーツァルトの名曲を聴かせた麹菌を使って醸造されています。伝統ある酒造りに新しい発想を加え、麹菌に高周波音域が多く含まれるモーツァルトの音楽の振動を与えることで発酵が促されるという考えから生まれたお酒。ラベルも洋風でスタイリッシュ、洋食のテーブルにも合いそうですね。

老舗酒造の新たな挑戦

2022年のラベルデザインの一新を機に、新たなお酒も出来上がりました。

「白笹鼓」のネクストブランドである「黒笹」は長期低温発酵で造られたお酒で、甘みや旨味があるのが特徴です。10℃くらいでいただくのが、香りが最も開き美味しいそう。黒笹は食中酒としてぜひ飲んでいただきたい「エデン」(写真右)とお酒単体で楽しんでいただきたい「リバイブ」(写真中央)の2種類があります。
ワインボトルで販売されている「碧笹」(写真左)は、通常の日本酒と比べてかなり酸味のある日本酒。ワインのような味わい、新しい日本酒の世界が開きます。搾りたての碧笹は酸味が強いですが、1年ほど寝かせると味に変化が出て面白いそう。

地産地消のお酒造りもスタート

ここ最近では、酒蔵が地元で酒米を育てお酒を造る“テロワール”が盛んです。(テロワールとはフランス語で“風土の、土地の個性”という意味があります)金井酒造店でも2023年から、秦野市内で田植え、稲刈り、お酒造りまでを行っています。

2023年産の酒米で作ったお酒「ミライザケ 大地/詩歌」の2種類は販売されると半月余りで完売。販売店舗は金井酒造店と秦野市内の酒屋1か所のみでしたが、あっという間に売切れ…これには金井酒造店の皆さんも驚いたよう。2024年の田植えも無事終了し、秋の稲刈り後に醸され、2025年1月に新酒が発売される予定です。今から楽しみですね♪

日本酒が苦手という方には、湘南ゴールドを使用した「ササノネ 湘南ゴールド(和リキュール)」がおすすめ。こちらは甘いタイプのお酒ではありませんが、爽やかな柑橘フルーツが香るフルーティーなお酒。他にも地元の梅を使用した「白笹鼓 ウメザケ(梅酒)」も人気です。

事務所に併設された売り場では、金井酒造店の全種類のお酒を買うことができます。お話を伺った専務さん曰く“季節のお酒をその季節に楽しむのが醸造酒の醍醐味”だそうです!定番のお酒を楽しみながら、春・夏・秋・冬とお酒で季節を感じるのもまた粋ですね。
もっと気軽に酒蔵に足を運んでもらいたい、と蔵開きイベントも開催。金井酒造店のお酒を飲み比べ、蔵の方と直接お話をしながらお好みのお酒を探してみてくださいね。SNSで蔵開きの日にちをお知らせしているので、ぜひチェックしてみてください!

売り場の棚の下にはお客様が書いてくれたという書があり、金井酒造店さんへの愛を感じました。

「白笹鼓」は、生産量のおよそ半分が地元秦野で飲まれている、まさに“おらが町のおらの酒”の地酒。地元に愛され続ける秦野市内唯一の酒蔵は、伝統を現代に生かした酒造りに挑戦し続けています!是非、名水の里で育まれた日本酒をご賞味ください。

〒259−1304
神奈川県秦野市堀山下182-1
小田急小田原線「渋沢駅」より徒歩約20分
0463−88−7521
10:00~16:30
日曜日定休・年末年始休
あり
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