技術継承を次世代へ 上磯部・勝坂地区有志凧あげ
相模の大凧は、制作にたくさんの時間がかかります。お祭りが開催される 5月4日・5日に合わせ、前年の11月頃より骨組みで使用する竹を刈るところからスタート。半年以上かけ大きな凧は完成します。その模様をお届けしてきましたが、令和4年度も相模の大凧まつりは中止となってしまいました。地区の有志の皆さんは、年明けも毎週のように凧制作に励んでいました。しかし、中止が決定してしまえば凧制作ももちろん中止です。途中まで作り上げてきた凧を揚げずに終わらせてしまうのは…と、2つの地区がそれぞれ有志で凧を揚げようと立ち上がりました。その知らせを受け、勝坂地区、上磯部地区の有志による凧あげに参加してきました!
~勝坂地区有志凧あげ~
ついに凧が青空に舞う!
雲一つない快晴の5月某日。この日は、待ちに待った勝坂地区有志の凧あげの日。
少し前まで雨の日が続いていたとは思えないほどの快晴に恵まれたこの日は、心地よい南風も感じることができるほど。凧が大空を舞う姿を見られる絶好のチャンスですね!
今年度最後の大凧作業
有志の集まる会場へ向かうと、早速準備が始まっていました。昨年から作り上げてきた凧を会場で組み合わせ、空へ揚げる準備を整えていきます。
本来であれば、勝坂地区は5.5間凧(10m四方)がメインの大凧になります。今回は有志凧あげなので、2間凧(3.6m四方)を揚げるとのことです。それでも大きい凧には変わりないですよね。和紙にはどんな題字が書かれているのだろう?とわくわくしながら組み上がるのを見学させていただきました。
題字は、“勝坂”。そして“希望”と描かれています。地区の絆と「来年こそは…」という想いが伝わってくるようです。
組み上げが終わると凧を立てかけます。この時使用するのが、密着取材でもお伝えしてきた「カニの爪・碇のような金具の着いた支え竹」。凧の竹枠に引っ掛けて立てかけ、準備完了です!
力を合わせて大空へ!
さぁ準備が整い、皆さん気合も十分!全員がお揃いの法被を着用し、まずは記念撮影から。
各地区決まった色があるようで、勝坂地区は“黄色”。その中で、ひときわ目立つ法被をお持ちの方を発見!!
毎年作られている“大凧ワッペン”を法被に縫い付けていました。令和元年の「令和」の大凧以降開催できていないため、ワッペンがないとおっしゃっていました…なんとも切ない。来年はまたワッペンが縫い付けられることを願っています。
まずは凧の四隅を持ち、少し離れた場所まで移動させます。お祭り開催時よりは小さい2間凧と言ってもやはり重たいので、男性6人以上で持ち運んでいきます。南風もしっかり吹いているので、準備が整い次第揚げますよ~!
1回目!やはり2年ぶりだからなのか、思うように凧が揚がらず、すぐに落ちてしまいました。地面に落ちると骨組みの竹が折れてしまうこともしばしば。修理をして再度チャレンジ。
2回目もうまく揚がらず。やはり、大きい凧を揚げるのは簡単な事ではないということが良くわかりました。時間の関係もあり、次の3回目でチャレンジは終了ということに。ぜひ、大空に舞って欲しいです!南風がしっかり吹いていることを確認して、いざ空に凧を揚げます…!
最後にして凧が大空に揚がりました!!
ちょっと踊り出す(ふらふらしてしまう)こともありましたが、ついに大空に凧が舞いました!やはり空に舞う姿は素敵です。
周囲にいたお散歩中の方や川に遊びに来ていた方々からも大きな拍手が。とても見ごたえのある凧あげになったと思います。勝坂地区のみなさんも凧を揚げられたことに大変喜んでいました。来年こそは5.5間の大凧を揚げられることを願っています。
~上磯部地区有志凧あげ~
世界の平和を願って大空へ
ついに関東が梅雨入りし、どんよりとした日が続く6月某日。この日は朝方まで雨が降っていましたが、開催前には青空が!これもきっと日頃の皆さんの行いと、平和への願いが伝わったのだと思います。そう、今日は去年からずっとお世話になっている上磯部地区の有志凧あげ。待ちに待った凧あげの日です。
揚げる前の組み立て作業
3年間お祭りが開催できない中で、皆さんで作り上げてきた凧。今回揚げる凧は、1辺1.8mの1間凧です。お祭りで上磯部地区が揚げる6間凧の大きさとは違いますが、皆さん3年ぶりの凧あげにワクワクです。
こちらの地区も久しぶりとあって手順を少し忘れてしまっている部分もありましたが、それでも思い出しながら楽しそうに組み立てていましたよ。
本来の凧あげでは心地よい南風に揚げますが、今日は北風。強く吹いたり、無風になったりと安定していませんでしたが、頃合いを見て凧あげスタート!
“平和”の二文字が大空へ
こちらの地区の題字は“平和”。世界平和を願い凧を揚げます。
日本の国旗に加え、ウクライナの国旗、虹色の旗も掲げました。
久しぶりとあって1回目、2回目はうまく揚がらず、すぐに落ちてしまいました。繰り返しトライしていると5回目に良い風が吹き、約3分間大空に舞い上がりました!
高さにしてビル6階分くらいでしょうか、見上げるほど高く気持ち良さそうに凧が泳いでいました。
その後も何度か凧を揚げ、私も参加し縄を一人で持たせていただきました。
風力と凧の重さで思っていたよりも重く、さすがに一人ではすぐにギブアップ。。。皆さんの腕力の凄さを感じました。
久しぶりの凧あげを楽しみ、“来年こそはここで6間凧を揚げたい”と思う気持ちは皆さん一緒!大空に大凧が揚がる日を楽しみにしています。
~お祝い凧あげ~
77歳の記念凧“喜寿”も大空へ
勝坂地区の有志凧あげと同時に開催した、喜寿のお祝い凧あげ。ミニ凧作りの名人がお祝いの凧を作成し、大空に揚げました。喜寿の凧は、77歳に合わせて77㎝四方の特別仕様。さすが名人制作だけあって、作りが細かくとても立派な凧です。
ミニ凧作りの名人と喜寿仲間と、久しぶりの凧あげ。“そんなに高く揚がるの!?”、“あ~落ちてきちゃう”…と思って見ていても、名人たちは縄を上手に操り凧を地面に落とさない!とても満喫していらっしゃいました。
喜寿のお祝い、おめでとうございます!とても明るく元気な方々たちでした。来年は、大凧揚げの姿を見にお伺いしたいと思います。