ジモット人 INTERVIEW

ジモトを愛する方々にインタビューしました!

vol.09| 重寿司 2代目 相澤亜香根さん

食は人を幸せにするという信念のもと
料理教室やワークショップで地域に恩返し
『重寿司』 2代目 相澤亜香根さん

昭和48年に鶴見区で創業した「重寿司」。2013年には横浜市商店街総連合会が主催する「ガチ丼」で金賞を受賞した地域で愛される店です。その2代目の相澤亜香根さんは、店の経営の傍ら、管理栄養士の知識、世界一周した船旅やイタリアへの料理留学での経験を活かして地域に恩返しをしています。ポジティブな思いが詰まった相澤さんの取り組みについてうかがいました。


左:2代目 相澤亜香根さん  右:父 岩澤則之さん

「大切な場所を失いたくない」と2017年に代替わり

― まずは「重寿司」の地元・鶴見の良いところ、好きな場所を教えてください。

うちの店からすぐの鶴見川は、歩いているだけで気持ちが晴れますね。鶴見の良いところは、人が良いところ。鶴見川沿いを歩いているときもですが、あいさつをしたり声をかけあう習慣があって、それは子どもたちの安全とか地域の防犯につながっているんだと思います。そういう地域の連帯があると、悪いことをしようとする人が外から入って来られないはずですから。それと「重寿司」ですね(笑)

― 続いて「重寿司」の紹介をお願いします。

「重寿司」は両親が昭和48年に始めた店です。父が60歳目前になった頃、「4年後に店を締める」と言い出して。大好きな店を失いたくないという一心で、「私と一緒に続けてほしい」とお願いしました。私は、お客さんに育ててもらったと思っているので、その恩返しをするためにも店を失いたくなかったんです。
両親を説得して続けてもらい、2017年に社長になりました。最近は、横浜市商店街総連合会の「ガチ丼」で金賞をいただいたことで、うちの店を知ってくださっている方も多いと思います。


金賞受賞の「ガチ丼」

― 大きな決断をされて今に至るんですね。改めて、相澤さんのキャリアを教えてください。

父は寿司職人、祖父は生麦の魚河岸通りで寿司種店を営んでいたので、食を身近に育ちました。それで私も食のスペシャリストになりたいと思って管理栄養士の資格を取りました。
その後、世界一周の船旅をしたり、イタリアに料理留学しました。そうした経験を通して、土地のものを大切にする気持ち、土地を愛する気持ちが食文化の根底にあると気づきました。そして、食文化を通してその国の歴史や背景を知ると、平和の大切さを思うようにもなりました。
今は「重寿司」の経営とともに、そうした経験を活かして地域活動もしています。

 

楽しむことを第一に考えた取り組みが地域で人気に

― 地域での活動について具体的に教えてください。

最初に初めたのが恵方巻教室で、15年くらい続けています。節分の日に、子どもたちに集まってもらって、みんなで恵方巻を作ります。食育は一つのテーマですが、難しい話は一切なし(笑) できた恵方巻は持ち帰ってもらって、ご家族で食べてもらいます。「自分で作ったからか、苦手なものも食べていました」と後になって親御さんから聞かせていただくこともあって、これも一つの食育のカタチだと思っています。


― 自分で作って家族に振る舞うという成功体験は、お子さんの自信につながりそうですね。
他にもありますか?

鶴見区各所にある地区センターで料理教室をしています。管理栄養士という視点で健康をテーマにした日もありますが、家の冷蔵庫にあるもので作れる家庭料理が中心です。「男の料理教室」と銘打ち、男性に参加していただいたこともありますよ。そういう時は「家で復習したときに『おいしい? おいしい?』と家族においしいを強要しない」というところから始めます(笑) 普段、奥さまに毎回「おいしい」を言っていますか?って。これも私流の食育で、いろいろな角度から話しをさせてもらっています。


― 食育はお子さんに限ったものではないんですね。

そうですね(笑) ほかに、地元・駒岡の農家さんとコラボして採れたてのゴーヤを使ったレシピを紹介したり、鶴見区盛り上げ隊と鶴見区商店街連合会が主催している「鶴見まんぷく広場」に出店もしています。まんぷく広場には、天むすやキツネのお稲荷さんとか、オリジナルメニューを用意して少しでも楽しんでもらえるように工夫しています。

 

継続することで地域とのつながりが深まっているのを実感

― さまざまな活動をされていますが、どんなときに手応えを感じますか?

さきほど紹介した取り組みの多くは、コロナ禍で中断せざるを得なくなってしまいました。それでも、街や「まんぷく広場」などで「教えてもらった料理、おうちごはんが増えているから助かっている」とか「ゴーヤが好きになりました!」と、声をかけてもらえるのがうれしいです。

― イベントができなくてもつながりを実感できるのはうれしいことですね。
今後の目標を聞かせてください。

ずっと思い描いているのは「子ども食堂」ではなく「子ども厨房」。コロナ禍を経験して、料理の楽しさに改めて気づくことができました。食べることは、いつ、どんなときもなくなりません。子どもたちが晩ごはんを作って、お家に持ち帰ってもらう企画を月に1回からでも始めてみたいです。

― 「JIMOTTO」とコラボレーションできそうなことはありますか?

今は鶴見区を拠点に活動しているので、「JIMOTTO」の神奈川という広いエリアで何かできたらいいですよね。地域活動というと馴染みがない方もいらっしゃると思いますが、とにかく混ざって、楽しむことが一番。楽しんだ者勝ち! 私は生きている限り、人生は“give and take”ではなく“give and give”だと思っています。私は、食を通して楽しい種を蒔き続けたいです。

重寿司
〒230-0071
神奈川県横浜市鶴見区駒岡4-20-24 第一秋山エンタービル
「鶴見駅」「川崎駅」「綱島駅」よりバス「駒岡八幡神社前」下車すぐ
電話:045-573-3605
営業時間:12:00〜14:30、17:00〜23:00(LO22:00)、日・祝12:00〜23:00(LO22:00)
定休日:水曜(祝日、年末年始は営業)、不定休(SNSにて告知)
https://shigesushi.hama1.jp/