[ 自動車整備 ]
高度な整備技術、細やかな配慮
横浜で昭和39年の創業依頼積み重ねた豊富な実績と
確かな技術で明日の安全を守ります。
1964年創業の雨宮自動車工業株式会社(横浜市金沢区)は、
一般の車両整備に加えて、高所作業車やフォークリフト、
コンクリートミキサー車といった
特種車両整備を得意としている自動車整備会社です。
今回は、2011年3月に同社の代表取締役に就任した
小宮里子さんにインタビュー。
神奈川 県内で初めて、
現場でたたき上げて国家1級自動車整備士の資格をとった
女性でもある小宮さんに、これまでのお仕事について、
そして仕事をする上で大切にしていることや
今後の展望などを聞きました。
高度な整備技術、細やかな配慮
父・雨宮久明が創業した雨宮自動車修理工場(現・雨宮自動車工業株式会社)は、横浜市南区二葉町にある整備工場でした。規模は今の 4分の 1ほどで、工場の天井も低くて、穴蔵のような整備工場だったんですね。でも時は高度経済成長期。父も工場勤務の方々もギラギラ 輝いて見えましたし、とにかく楽しそうに仕事をしていました。
工場と自宅は少し離れていたのですが、工場勤務の方が自宅に朝ごはんを食べに来たり、母 が工場の経理の仕事をしていたので、私も母に連れられて工場に頻繁に通ったりしていたん です。流れてくる水と油が混じって虹色になるところに心をときめかせたり、時々ボルトが 転がってくると嬉しくなったり。そんな環境で育って、もともと車も大好きだったので、4、5歳の頃には「整備士の仕事がしたい」と心に決めましたね。
中学、高校と進学しても「整備士になりたい」という気持ちは全くブレず、友人たちがファッション誌を眺める横で、自動車雑誌を読み漁るような子どもでした。学校が休みの日は、つなぎを着て工場に行って、部品や車を洗う手伝いなどをしていました。自動車整備学校へ進学後、国家2級整備士を取得。一度ディーラーに就職しましたが、1987年、22歳のときに雨宮自動車工業に入社しました。
「やらないと後悔する」と
国家1級自動車整備士の資格を取得
雨宮自動車工業は翌88年に、今の横浜市金沢区福浦に工場を移転します。「こんなに大きい工場でやっていけるだろうか」と緊張感を持っていましたが、お客様とのご縁や時代が後押ししてくれて、事業は右肩上がりで成長していきます。私を入れて従業員は3人ほどで、整備もバックエンドもすべての業務を力をあわせて行っていました。朝から晩まで仕事に明け暮れていましたが、楽しくて仕方がありませんでしたね。
そして、2011年3月に代表取締役に就任しました。東日本大震災の影響で燃料供給が止まるなど、一時的にすべてが停止する状況での船出。ただ、弊社の場合は“働く車”の整備を行っていましたので、工事車両や警察車両が被災地へ向かうための整備依頼が多く寄せられました。被災地は本当に大変な状況だったと思いますが、少しでも役に立てるならと思いながら一生懸命働きました。
同じ頃、国家1級自動車整備士の資格の勉強を始めました。社長に就任したばかりで、子どももまだ幼かったのですが、やらないと一生後悔をすると思ったからです。仕事と家庭を両立しながら、広く深く勉強しなければならない日々。年1回実施される試験は、3回目にしてようやく合格しました。その後、自動車整備技術コンサルタント国家認定資格も取得しますが、やはり日々のお仕事の中でも資格を取得しておいてよかったなと感じます。時間はかかってしまいましたが、あのときの自分の判断は間違っていなかったなと。
こうして振り返ると、代表に就任してからのターニングポイントは2つあります。
1つは、整備士の存在です。これから会社を成長させていかなければ、と強く思っていた時期、短時間にたくさんの作業をこなす力を持った職人気質の整備士がいました。腕は確かで技術力も高かった彼らが、当時の会社に利益をもたらしてくれましたし、結果ここまで会社が大きくなりました。残念ながら離職した整備士もいますが、この一時代を築いてくれた彼らに今も感謝をしています。
そして、組織が大きくなり成熟期に入ってきた現在は、後輩の育成に力を注いでくれる整備士が工場を切り盛りしてくれています。とても懐が深い人物で、後輩からの意見も受けとめてしっかり対応してくれています。技術承継が難しい環境のなかでも、繰り返し繰り返しやって見せる(時に厳しく…)。一歩一歩ですが人材育成も上手くいき始めていて、とても心強い存在です。
2つ目のターニングポイントは、2019年9月の台風です。ちょうど事務所のリノベーションをしているときに台風が上陸し、大事な書類、設備のすべてが冠水してしまいました。どん底を見ましたけれど、地元の方々やお客様に助けていただいて、なんとかここまで復活することができました。
人材不足に困っている業界の
力になりたい
雨宮自動車工業に関わる全ての人が幸福でいてほしい。お客様や従業員をはじめとする全てのステークホルダーが幸せになってほしいーー。それが私が仕事をする上で1番大切に思っていることです。雨宮自動車工業には、知識と技術はもちろん、真心を持った整備士がいます。お客様のために最善を尽くした提案をし続けることで、お客様にも社会にも貢献できると本気で思っています。
人材不足が続く業界ではありますが、その中で生き残るためにも、従業員の夢や希望をできる限り叶えていきたいですね。従業員の中には「ライセンスを取りたい」という思いを持った従業員もいれば、外国籍で「国に仕送りをしたい」と思っている従業員もいて、それぞれ目標があるのですが、それらを達成して、自己実現する手助けをしたいです。
そのほか、自動車整備技術コンサルタントの資格を生かして、特定技能外国人の採用をお手伝いしたり、現場でお困りごとはないかヒアリングをしたりする活動も行っています。雨宮自動車工業だけでなく、人材不足に困っている同業他社様、業界全体のお力になれればと思います。