ジモット人 INTERVIEW

ジモトを愛する方々にインタビューしました!

vol.04| 大山阿夫利神社 権禰宜 目黒久仁彦さん

地域活動の原点はその土地に愛着をもつこと
情報発信と後進の育成で地域に貢献する
大山阿夫利神社 権禰宜 目黒久仁彦さん

伊勢原市にある大山阿夫利神社は、関東総鎮護の霊山として2000年以上前から崇敬を集めてきました。現在もパワースポットとして有名で、人気のハイキングコースでもあります。そんな阿夫利神社の権禰宜(ごんねぎ)で、いせはらシティプロモーション公認サポーターとしても活躍する目黒久仁彦さんに、阿夫利神社のこと、伊勢原市のこと、そして地域活動についてうかがいました。

 

2000年以上前から人々の暮らしを見守る大山阿夫利神社

― まずは阿夫利神社について教えてください。

大山阿夫利神社の歴史は古く、2000年以上前にさかのぼります。縄文時代から続く信仰が今に伝わり、人々の心の拠り所として親しまれてきた場所です。

ちなみに、阿夫利神社のある伊勢原市は2021年に市制50周年を迎えました。#なかなかいいいなかいせはら というコピーでプロモーションをしているのですが、まさにそんな街です。小田急線のほか新東名高速道路の伊勢原JCTにより交通の便は良く、自然は豊かで本物の歴史や伝統芸能が残っています。この絶妙な田舎感が私は好きですね。


― どのような仕事をされていますか?

神職の権禰宜として、下社と社務局を行き来しながら仕事をしています。そのほかに、広報、渉外の業務も担っています。神社の広報はイメージしづらいかもしれませんが、SNSは神社と人々を結びつけるのに活用できるのではないかと思い情報発信を始めたのがきっかけです。

最近は、この格好(白衣と袴)でカメラを持って境内を歩いていると、「もしかしてInstagramの撮影をされている方ですか?」とか「SNSを見て来ました!」と声をかけていただくこともあり、参詣のきっかけづくりができていたらうれしいです。広報の一番の仕事は、知っていただくことだと思うので。

― 阿夫利神社の中でおすすめの場所を教えてください。

私が寮長を務めていることもあり「茶寮 石尊(せきそん)」にはぜひお立ち寄りいただきたいです。『ミシュラン グリーンガイド ジャポン』で二つ星をいただいた眺望を楽しみつつ寛いでいただけます。最初はテラス席に惹かれると思いますが、テーブル席、座敷席とそれぞれに良さがあるので、最低3回はご来店いただき(笑)、異なる席で過ごしていただきたいですね。

ここは設計を建築家の堀部安嗣さんに、施工を宮大工の内田幸夫さんにお願いしました。優れた技術を持っている方々の活躍の場になればという思いもありました。また「茶寮」というカフェを新しい神社の入り口にして、阿夫利神社に興味を持っていただければと考えています。お祭りや行事の場として、かつて神社は人々の暮らしと密接にかかわっていました。しかし、いつの間にか日常の外へと出されてしまった感があります。カフェという身近なものから、阿夫利神社の歴史や文化を感じていただけたらうれしいです。

→茶寮 石尊のFacebookはこちらから


「茶寮 石尊(せきそん) 水まんじゅう」


「茶寮 石尊 升ティラミス」

 

神輿の担ぎ手は地域の担い手、常に連携を深めておくことが大切


― 目黒さんが地域を盛り上げる活動をされているのはなぜですか?

少子高齢化が進むにしたがい地域の力が落ちていると思うんです。例えば、地域のお祭りでお神輿を担ぐことになっても人が集まらない。誰かにお願いしようとしても縁のない人に相談できることでもない。つまり、普段から連携が必要ということです。

また、コロナ禍以前は海外からのお客さまを迎える機会が多くありました。その経験の中で、日本人は自分のことを話せない人が多いと感じていました。その理由の一つに、自分の生まれた地域のことをよく知らないということがあると思うんです。自分の生まれた地域のことを知り、そこでさまざまな成功体験を重ねると自信がつく。そうすると、自分のことをちゃんと話せるようになると思うんです。地域の役割を果たすためにも、地域が元気であることが重要だと考えるからです。

 

― 具体的にどのような活動をされていますか?

カメラが好きなこともあり、いせはらシティプロモーション公認サポーターになっています。実際に私の撮った写真や動画が伊勢原市や小田急、NEXCOのポスターなどで使われています。公認サポーターという肩書があることで、地域の取り組みにより深く関わることができると考えて認定を受けました。

また、2019年からは協力という形でしたが、今年から正式に、地元にある産業能率大学の非常勤講師をしています。大山の歴史や文化を伝えたり、地域を盛り上げるにはどうしたらいいかを学生と一緒に考えています。時には大山について講演を依頼されることもありますし、後継者が少なくなっている大山能や神楽舞の指導をして、子どもたちが発表できる場づくりもしています。

いずれも目黒久仁彦さん撮影


― 「このような活動をされる時に心がけていることはありますか?

堅苦しくならないこと。どんなに世代が違っても笑いは共有できるので、楽しむ気持ちをもって接しています。また、小学生であれ、大学生であれ、若い人たちには我々の世代にはない発想や柔軟性があります。一方的に押し付けるのではなく、ともに考えることをしたいと思っています。だから若い人にも考えることから逃げたり、諦めたりしてほしくないですね。

 

点から線へ。大山を媒体に地域の連携を深めたい

― 今後の目標を教えてください。

私が取り組んでいる活動すべてに共通するのですが、「大山を中心に何かをする」ではなく「大山を媒体にして発展していきたい」と考えています。大山を媒体にすると、本当に多くの地域や物事と連携することができます。例えば、各地に張り巡らされている大山街道で千葉や長野に繋がることもできます。そして、大山だけでなく伊勢原、伊勢原だけでなく神奈川全体が連携し、盛り上がるような仕掛けができたらいいなと思います。こうした活動は、ずっと地元にいる私のような人間が率先して参加すべきことで、歴史や伝統を継承しつつ、今の時代にふさわしいスタイルに落とし込んでいくことが大切だと思います。


― 「JIMOTTO」とコラボレーションできそうなことはありますか?

神奈川県のことでも西部のことはなんとなくわかりますが、東部や北部のことはよく知りません。JIMOTTOには、私のような個を線で繋ぐ役割をしていただき、県全体をまとめていただきたいですね。例えば、JIMOTTOで紹介されている各地で活動されている方が集まる座談会とか! 私も他の地域のことを知りたいですし、みなさんに大山のことをもっと知ってもらいたい。個が外に向けて発信するには限界があるので、そこをサポートしてもらいたいです。

→ 阿夫利神社ホームページはこちらから