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〈 三浦半島 〉

日常から離れた素敵な空間。地元の新鮮食材を使った創作イタリアンレストラン『SANGA』

横須賀市 長井漁港の目の前にある『SANGA』。看板も控えめでひっそりと佇む一軒家のようですが、入口横にはテラスもあり、店内へ入ると素敵な空間。落ち着いた照明に洗練されたインテリア、窓の外を見ると長井漁港の海が広がります。(お店の近くには『長井水産直売センター』もあります!)マルセイユをイメージしたという『SANGA』は、2022年4月にオープンした創作イタリアンのお店。慌ただしい日常から離れて、ホッとした気持ちになれる素敵な空間です。

様々な場所を経て地元の横須賀へ

オーナーシェフの田中さんは横須賀出身。『葉山ホテル 音羽ノ森』でフレンチを4年経験し、その後、衝撃的な出合いを果たしイタリアンへ転向。お勤めだった鎌倉のイタリアンのお店へは横須賀から通っていましたが、地元の仲間たちはどんどん横須賀から離れていき…ご自身もどうしようかと考えるように。心機一転、海外へ向かうことにしました。
一旦、料理から離れようかと思い、オーストラリアでスキューバダイビングのインストラクターをやりながら職を探したそうですが、現地での出会いの中で料理の道へ戻ることに。ワインの勉強をするために、ファームステイをしながらワイナリーでワイン造りに関わっていたこともあったそうです。その後イタリアへ渡り、ホテルレストランに勤め、料理の腕を認められて全てを任されるまでになりました。その頃には段々と料理への気持ちも戻って、楽しさも感じられるようになったそうです。
約2年間を海外で過ごし日本に帰ってきた時、以前働いていた鎌倉のイタリアン(当時、食べログのイタリアン部門で全国2位。3ヶ月予約が取れないお店だったそう)から声がかかり、お店の名前だけ変えて継ぐことになりました。そのお店の他に2店舗、合わせて3店舗の総料理長を務め、11年ほど経った頃に鎌倉のお店を離れることに。時間に余裕ができ、色々と見ながら過ごす中で“やっぱり横須賀だ”ということに改めて気付いたそうです。

どこよりも新鮮な地元の食材を使用

“どうしてこの場所で?”とよく聞かれるそうですが、“この場所がよかった。葉山や秋谷や鎌倉じゃなくて、横須賀がよかった”と田中さん。横須賀には量が多くてリーズナブルな居酒屋さんのようなお店が多く、気軽にワインを飲んだり美味しいパスタが食べられるお店が少ないと感じ、そういうお店を横須賀に作りたいと思ったそうです。
横須賀には、鎌倉や葉山にあるお店が魚や野菜を仕入れていくほど良質な食材がそろい、農家さんも漁師さんも近くにいるので、どこよりも新鮮で一番いい状態の食材を手に入れることができます。できる限り新鮮な地元の食材を使って料理を提供し、日本産のワインを積極的に使っていきたい、と地産地消への強い想い。釣り船屋さんから“獲れたよー!”と、食材を提供してくれることもあるそうですよ。地元からも愛されている証拠ですね。

その日限りのオリジナルメニュー♪

その日に水揚げされたばかりの新鮮魚介や、地元の採れたて野菜を使用したその日限りのメニューをいただくことができます。今回はランチにお伺いし、おすすめをいただきました♪

「旬の横須賀野菜ポタージュ(カブ)と『充麦』のパン」
旬の横須賀野菜は、今回はカブを使用。(カブは『長井水産』から朝仕入れたそう!)一口含むとカブの香りが口の中いっぱいに広がります。カブの甘さにオリーブオイルの風味がよく合い、とても優しい味。一緒に提供された三浦のパン屋さん『充麦』のパンはとても柔らかく、ポタージュにピッタリ。
「自家製フルーツワイン(白)」
見た目は白ワインそのものですが、こちらは自家製のノンアルコールワイン。レモン、ライム、ミント、レモングラス、白ブドウのジュース、水から作られています。とてもさわやかで香り高く、フレッシュな味わいです。

「自家製ハム」
まるでローストビーフのよう、シンプルながら素材の美味しさが味わえます。肉厚で歯切れが良く、食べ応え十分。塩味を効かせた味付けが、付け合わせのみずみずしい野菜にほどよく合います。

「カンパチのカルパッチョ」
新鮮なカンパチは厚めにカットされ、カルパッチョというよりお刺身のような感じでいただけます。身がぎゅっと締まったカンパチとソースと添えられた野菜、それぞれの美味しさが引き立つ調和のとれた料理でした。

「金目鯛ロースト」
長井水産から仕入れた新鮮な金目鯛。一口頬張ると、まずは皮目のパリっとした食感が際立ち、それから金目鯛の良質な脂が溢れ出してきます。金目鯛だけでも大満足ですが、甘みたっぷりの野菜や酸味のあるソースと一緒にいただくと、淡泊と言われている金目鯛の味に奥深さが生まれます。見た目も素敵で、まさにアートのような一皿です。

「アサリとトマトのペスカトーレ」
パスタは絶妙なアルデンテ。フレッシュなトマトの程よい酸味を感じられるトマトソース。旨味の詰まったアサリとのバランスが最高です。添えられている自家菜園のパセリも良いアクセントになっています。

「本日のドルチェ(柿)」
取材に伺ったのは11月下旬だったので、この日は柿のドルチェ。(季節によって旬のものが使用されます)大きくカットされた柿の実がインパクトありますね。柿は程よい甘みでじゅわっと感が口の中いっぱいに広がります。生地はしっとりしながらも、口に入れるとほろほろ崩れるような食感。

「抹茶ジェラート」
ミルク感たっぷりのバニラジェラートに苦めの抹茶ソースがたっぷり。ジェラートの下にはあんこも隠され、メレンゲ菓子のパリパリ感と香りのいい抹茶パウダー、その絶妙なバランスに感動です♪ 初めて味わう抹茶ジェラートでした。

人との繋がりで成り立っていることを大切に

『SANGA』とは、サンスクリット語で“高め合う仲間たち”という意味だそう。仏教の言葉でも“仲間”を意味するそうです。生産者の方やお客様、そしてスタッフ、全ての人との繋がりで今があることを大切にしていきたい、という田中さんの想いが込められています。
素敵な店舗は、地元 佐島の工務店さんとご縁があり、元々あった建物を使えるところは再利用してリノベーションしたそうです。店内の壁やカップといった食器の一部にリサイクル素材を使い、カウンターのテーブルには間伐されて本当は捨ててしまわれるような屋久杉を使用しています。

店内には素敵な絵が飾られていますが、こちらも佐島のアーティストさんが描いてくれたもの。(なんと、リノベーションをしてくれた工務店さんのお隣さん!)『SANGA』のロゴの形をしたカラトリー置きも作ってくれたそうですよ。いろんな繋がりをひとつひとつ大切にしている暖かいお店だと感じました。

“オープンして約2年、段々と地元のお客様も増えてきましたが、もっと気軽に来ていただけたら嬉しい。いろんな漁村にこういうお店が増えていったらいい”とお話いただきました。
ディナーは予約が必要ですが、ランチは予約なしでOKです。これだけ新鮮な地元の食材をこの素敵な空間でいただけるとは…至福の時間でした。横須賀にお出かけの際は、是非立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

〒238-0316
神奈川県横須賀市長井5-3-1
京急久里浜線「三崎口駅」よりバス「不断寺」下車、徒歩1分
046-845-6064
火・水・木/11:00~17:00 ※ディナーは予約制 (当日14:00まで予約受付)
金・土・日/11:00~16:00、17:00~21:00
月曜定休
あり(6台)
https://www.sanga-dining.com/
https://www.instagram.com/sanga.yokosuka/
座席/カウンター 5席、テーブル席(2人席×1、4人席×2)

Google マップの「拡大地図を表示」をクリックでルート検索ができます。